こめかみから謎のゾウ汁を出す「マスト期」のゾウ
体の大きなゾウ。アジアゾウなら体高3m、アフリカゾウに至っては4m近くにもなるというからびっくりです!!
頭がよく、訓練すれば人にも従順な性格ですが、その身体の大きさから、動物園では飼うことがとても難しいとされている動物です。

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By RayMorris1 [CC BY-NC-ND 2.0], via flickr

というのも、ゾウのオスには1年に1度、通常時の20倍の男性ホルモンが出る発情期、「マスト期(ムスト期)」と呼ばれる時期があります。
「マスト期」のゾウは側頭部から、刺激臭のあるタール状の謎の液体が大量に分泌されます。

マスト期のゾウ
By Yathin S Krishnappa [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

イラ立ちで目がギラギラし、近くのものを攻撃したり、壊したり、手が付けられないくらい凶暴になります。

暴れるゾウ

このマスト期のゾウを扱うのは大変困難のため、少し前の動物園はメスのゾウばかりでした。
今はゾウの保護のため、動物園は展示するゾウを自分たちで繁殖させなくてはならず、オスのゾウも飼われるようになりました。
でも、マスト期のゾウは非常に危険なので、お客さんの前には出せません。

凶暴なゾウ

ちなみに、「ゾウには表面積を求める公式」が存在します。
それがコチラ!


シュリクマー関数:
ゾウの表面積=8.245+6.807×ゾウの身長+7.03×ゾウの前足の太さ


ゾウの表面積は、「ゾウの身長」と「前足の太さ」に比例して大きくなるというものですね。

なんでもインドでは病気になったゾウの投薬量を決めるのに、ゾウの表面積を使っているそうです。
ゾウの体重は重すぎて測るのが大変ですもんね。。。

この公式のおかげで、実際にインド象の生存率が格段に上がったそうです!
この公式を発明したシュリークマー博士(K.P. Sreekumar)は、2002年にイグ・ノーベル賞の数学賞を授与されました☆



[参考文献等]






22か月も妊娠する動物と、12日しか妊娠しない動物
上野のパンダ 今季の繁殖断念」というちょっぴり残念なニュースが最近ありましたね。上野動物園のパンダ、リーリー(オス)とシンシン(メス)に発情のきざしがあり、檻をはさんでお見合いをさせたのですが、うまくいかなかったようです。可愛いパンダの赤ちゃんは、また来年に期待ですね!

パンダ

ところで人間の妊娠期間は「十月十日」と言いますが、パンダの妊娠期間は平均すると135日、個体によって3か月~6か月と大きく差があるようです。

では、動物の中で一番妊娠期間が長い動物はなんでしょう?
やはり体が大きい動物の方が赤ちゃんも大きいので、妊娠期間も長そうですよね。

ゾウ

というわけで、1位がゾウの、なんと妊娠期間約22か月!
120kgもある赤ちゃんが生まれます。120kgといっても、大人と比べれば小っちゃなものですね。

キリン
By John and Melanie (Illingworth) Kotsopoulos [CC BY-NC-ND 2.0], via flickr

続いて2位が、キリン。妊娠期間は15か月とのことで、首も長いが妊娠も長い!!!
赤ちゃんは体重70kg、身長はなんと1.8m。キリンのお母さんは立ったまま出産するので、赤ちゃんは2mもの高さから落下してしまいます。けがをしないように身体を折り曲げて生まれてくるそうです。

ちなみに妊娠期間が一番短いのは「オポッサム」というネズミに見た目が似ている動物で、なんとたったの12日です。
オポッサムは有袋類なので、きわめて未熟な状態で赤ちゃんを産み落とし、育児嚢(いくじのう)と呼ばれるおなかの袋の中で育てるのです♪

オポッサム

かわいいですね~♪ オポッサムは、子供をおんぶして育てる様子から、「コモリネズミ」とも呼ばれます。
ネズミじゃないんですけどね!



[参考文献等]






ゾウは足の裏で音を聞く
ゾウ
By godutchbaby [CC BY-NC-ND 2.0], via flickr

ながーい鼻と並んで、ゾウの特徴である大きな耳。
この耳は遠くの音をよく聞くため・・・にあるのではありません。

ゾウ
By Kim TD [CC BY-NC-SA 2.0], via flickr

見えるでしょうか、耳の表面に太い血管がたくさんかよっています。
実はゾウの大きな耳は、耳を動かしてパタパタと風に当てることによって、血管を流れる血液を冷まして体温の調節を行っているのです。


でも、ゾウの耳がいいのは本当です!

ゾウは人間の私たちには聞こえない20Hz以下の低周波、つまり聞こえないくらいとても低い声でコミュニケーションをとっています。
この低い音で、なんと10kmも先にいる他のゾウと会話することができるのです。

また、地面の振動を足の裏で受け取り、骨を伝って耳で感じるというスゴ技も持っています!!
この能力によって、足踏みで何kmも離れた遠くのゾウとコミュニケーションをとったり、30~40kmも離れた土地の雨や雷を知ったりすることがわかってきました。

ゾウ
By _Mrs_B [CC BY-NC-ND 2.0], via flickr

あの大きな被害を出した2004年のスマトラ沖地震のときも、この優れた聴力のおかげで津波の出す低周波を感知し、津波が陸地に届く1時間も前に避難して1頭の被害も出さなかったそうです。

ゾウって、やっぱりすごい!




[参考文献等]






ゾウの墓場は本当にあるの?
陸上で生活する哺乳類の中で、もっとも身体の大きいゾウ。
最年長のメスをリーダーとした、血縁関係のある女系の家族で群れを作って暮らします。

たとえライオンやトラと言えど、体高4m、体重10tにも迫る大人のゾウを襲うことはまずありませんが、小さい子供のゾウは別。
だから、大人のゾウたちはいつも子供を中央に囲んで守るように移動します。

そうして身体をはって敵から子供を守ったり、母親の育児を助けたり、ゾウたちはとても強い絆で結ばれています。


ゾウ
By Nick-Carson [CC BY-NC-ND 2.0], via flickr



ちなみにゾウは人間と違って、生涯を通じて身体の成長が続きます。
ゾウの寿命は自然界では60年ほどと考えられていますが、30歳の元気なゾウより60歳のお年寄りのゾウが大きいのです!


ところで、「ゾウの墓場」って聞いたことがありますか?
サバンナのどこかにあるという、無数の骨と牙が散らばる薄暗いゾウの墓場。
自身の死期を悟ったゾウは人知れず群れを去って墓場に向かい、他のゾウに死に際を見せないと言われています。


ゾウの墓場
By bobosh_t [CC BY-SA 2.0], via flickr


でも、これは都市伝説のたぐいです。
おそらくゾウの死体があまり人目につかないので、そういう話が広まったのでしょう。

ゾウに限った話ではありませんが、自然界では動物の死体はあっという間に、ハイエナやハゲタカなど、掃除屋とも呼ばれる動物たちの餌となります。
最後は骨まで残さず分解されて、命が受け継がれていきます。


ゾウ
By kibuyu [CC BY-NC-SA 2.0], via flickr


ゾウの墓場は存在しませんが、死にまつわるゾウのある特別な行動が多数目撃されています。

それは、ゾウがなかまの死に面したとき、まるでお葬式のような行動をとるところです。

なかまの亡骸を鼻でなで、土や枝をかけたり、名残惜しむようにいつまでもその場に留まったりするというのです。


ゾウのお葬式
By Simone Dall'Angelo [CC BY-NC-ND 2.0], via flickr


その行動の真意についてはまだ解明されたわけではないようですが、知能が高く、家族の絆の固いゾウは、死を理解して悲しんでいるのではないかと考えられています。




[参考文献等]






実はゾウは走れない!!
両足が同時に地面から離れる瞬間がある移動方法を『走る』、
常にどちらかの足が地面についている移動方法を『歩く』という。

By Wikipedia [CC BY-SA 3.0]

いきなりなんなのさ、という感じですが、今回は走ることができない意外な動物をご紹介したいと思います。

ゾウ
By nilsrinaldi [CC BY 2.0], via flickr

身体が大きいので歩幅も大きいゾウ。
体重が6~8トン近くもあるアフリカゾウの走る速さは、時速40kmにもなると言われています。

でも、正確に言えば、ゾウは走ることができません。

冒頭にもある通り、厳密な意味で「走る」には、必ず一瞬でもすべての肢が宙に浮いている瞬間がなくてはなりません。
ゾウは身体が重いので、どの瞬間でも必ず1本以上の肢を地面に残しています。

つまり、ゾウは「走っている」のではなく「早足」をしているのです。


せっかくなので、その「早足」の瞬間を見てみましょう。
たしかにすべての肢が宙に浮いている瞬間はありません。




もっとわかりやすいように、同じような体格のサイの走る様子と比較してみましょう。
たしかにサイは走っています!




というわけで、ゾウは「走る」のではなく「早足」で、時速40kmも出すんですね!

といっても全速力で走った人間よりもずっと速く歩けるので、特に問題はなさそうですが。(^-^;)



[参考文献等]